現行技術の限界

車線逸脱防止システムの限界

車線逸脱防止システムの装着率もあがってきています。
システム側で車線を検出し、車が車線から逸脱しそうになったときにシステム側がハンドル操作をして中央に戻すシステムです。
この機能単体であれば、自動運転レベル1になります。
通常、この機能がついている車であればクルーズコントロールも付いていることが多いかと思いますので、その両方の対応でレベル2ということになります。日産のプロパイロット2.0が有名です。

メーカーによって呼び名は異なります。
ホンダはレーンキープアシスト(LKAS)と呼んでいます。
トヨタも似た名称で、レーンキーピングアシスト(LKA)と呼んでいます。
日産はインテリジェントLIという名称でわかりにくいです。

せめて国内のメーカーくらいは呼び名を統一して欲しいものです。

どれも自分のところは他社と違うということを伝えたいから名称を同じにしないのかもしれません。
この記事では車線逸脱防止システムという名称を使います。

機能としましてはもう少し詳しく、こちらに記事を載せます。

車線逸脱防止システムの新車販売における販売における装着率は、2019年の自動車工業会の資料によると、2017年に22.7%、2020年の同資料によると、2018年に31.0%となっています。

車線逸脱警報装置であれば、上の資料によると2017年が63.5%、2018年が77.6%となっております。
こちらはハンドル操作をするものではなく、車線を逸脱しそうになったときに警報がなる装置です。

車線逸脱防止システムの限界

動作概要としては、自車の両側の車線の白線など(レーンマーク)をカメラで読み込み、自車の位置を把握しながらシステムがハンドルを操作して真ん中に位置するようにするものです。
使用するセンサーとしては、ステレオカメラの対応になります。白線は立体物ではありませんので、電波の反射を使うRADARではできませんし、光の反射を使うLiDARは現時点では反射光を読み取るには難しいことが考えられます。

限界には次のようなパターンが考えられます。

  • 白線の視認性
  • 判断の問題
  • 国や場所による白線の表記の違いによる問題

それぞれについてご説明いたします。

白線の視認性

両側の白線の見えない例/画像 ぱくたそ(www.pakutaso.com)

日本の高速道路などある程度の交通量が見込まれ、整備がされている道路については大半の部分において天候が悪くない限りは視認性の確保はできます。
自動車メーカーのテクニカルレビューなどによると、99%といった認識率です。

画像カメラである以上、見えないものは見えない

白線を読めなくなるパターンとしては次のような状況が考えられます。

  • 白線が劣化して読み込むことが困難になる限界……アスファルトが劣化し、見えなくなる白線の対応
  • 悪天候における限界……雨天、積雪、濃霧といった視界が悪化して白線が見えない時や逆光時の反射による対応
  • 夜間における限界……自車のヘッドライトや街路灯しかない場合の対応
  • 他車両による視認の限界……追従走行や急激なブレーキによって車間が詰まったとき他の車両により白線が隠された時の対応

これらの時には、高精度な地図とGNSSや電子ジャイロを使用した正確な位置情報と合わせるか、もしくは道路側にレーンマーカーを埋め込むなどの処理をしない限り動作の保証はできなくなります。

ただ、前方カメラで認識できなくても、後部カメラを使って認識している場合などはその両方を使いながら自車の位置を判断するということができます。

レーンマーカーを埋め込んだ実験は各地で行われていますが、巡回バスなどある程度決まった路線を通る車両や、交通量の見込める高速道路などには有効です。レーンマーカーは線路のようなものですので、そこから外れない限りは白線が読めなくなっても走行できます。

判断の問題

香港 分岐/ぱくたそ(www.pakutaso.com)

天候に問題がなく、白線を読み込めたとしてもシステムからすると判断に困るシーンというものがあります。

分岐、合流、工事中による車線規制は判断できない

システムが白線の判断に迷うことが考えられるシーンとして次の場合があります。

  • 分岐・合流による複数白線による限界……どの線が自車が参考すべき線なのかの判断
  • 工事中などによる一時的な白線変更による限界……工事中のコーンなどによる一時的なレーン変更への対応

分岐における判断としては、カーナビなどで行き先がセットされている場合であれば、その分岐があったとしても、あらかじめ用意されたその場所の分岐画像からどの部分を参考にするかの判断を行うことは可能です。

ところが、カーナビに行き先がセットされていない場合はレーンキープがオフになるか、自分がよく通る道を選択するなどなんらかの判断が必要になります。

工事中などによる車線規制については、工事用にセットされるパターンが多すぎます。そのため、人であれば標識や、コーンなど、さまざまな形であってもそれを全て車線規制と判断できますが、システムにおいてはそれらを判断することは困難です。

そのため、システムが判断できるようになるには自動運転用に統一された標識や信号発信機などなんらかの目印になるものが必要になります。

国や場所による白線の表記の違いによる問題

白線を検出する場合でも必ずしも、黒っぽいアスファルトの両側に白い線が引いてあるとは限りません。

  • 国内、海外における白線表記の違い……例えば北米では鋲マーカーを使用

国内は同じルールで白線が引かれているはずですが、道路が状況に応じて塗装されていたりする場合もあります。そうするとコントラスト(濃淡)が異なるために道路の白線を読み込むことが難しくなることもありえます。

また、国によっては白線をひくのではなく、道路にマーカーを埋め込んでいる場合もあります。その場合は白線とは違う画像認識処理が必要になります。現時点では自動運転車は数が少ないですが、今後、自動運転車が一般的になり、日本で使われなくなった車がアフリカなどに輸出された場合はレーン自体がないのでそういった機能は使われなくなります。

そうすると、そういった国で使用する場合には自動運転機能の一部をオフにする設定なども必要になります。

現在のアフリカなどでも、日本からの中古の輸入車にはETCがついています。
ETCは起動時に、「ETCカードが挿入されていません」といった音声案内が流れます。
冗談のような話ですが、そのメッセージはアフリカの人たちが一番よく聞く「日本語」だと聞いたことがあります。

まとめ:路上の無限の可能性を想定することはできない

高速道路の白線の検出であれば、ある程度は起こりえる条件を絞ることができます。

しかし、それでも急に自車の前方で起きた事故、例えば二輪車の転倒などを回避できるかと言えば困難でしょう。

また、道路上の陥没した穴などなんらかの道路の異常についての検出など、想定しないことについての対応は困難です。
風で飛ばされてきたシートや、一般道に置かれた高さの低い冊なども検出が難しいことが考えられます。

壊れない機械はありません。でも、壊れにくい機械は作れます。

交通事故のない社会はつくれません。でも、交通事故の起こりにくい社会はつくれます。

それをどこまで突き詰めていくか、常に技術の限界をあげていくことがエンジニアには求められます。
また、同時にコストとの兼ね合いという部分もあります。

お金をかければここまで作れるけども、それでは価格が高くて売れないというジレンマです。
価格を決めるのは技術ではなく商売です。

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