事故例

車線をバックするなど予想しない動きをした時に起きた事故の回避の検討【事故例6】

実際に起きた交通事故をもとに状況等は仮説をたてながら、事故の原因を考えます。
そして、自動運転やADASが普及することでどのような形で事故を回避することができるのかどうかを検討します。

事故例

第1車線を走行中の車両AはT字路の交差点を通り過ぎたところ、同乗者に今の箇所を左折だと指摘され、バックをはじめました。
車両Bは対向車から右折をして入ったところ、バックを始めた車両Aの後方が車両Bの側面に衝突しました。

道路は片側2車線の道路で信号機のないT字路です。

この事故の過失割合は車両Aが90%、車両Bが10%でした。

事故原因

車両Aがバックをする際に周囲の確認が足りなかったことが事故の主な原因です。

車両Aの視点

第1車線を走行しています。左折の交差点を通り過ぎましたが、同乗者より「今の箇所を左折だ」と指摘されました。
そのため、交差点までバックをはじめましたが、その時に第2車線には走行車両があり、車両Bは見えませんでした。
そのまま左折できる位置までバックをしようとしたところ、対向車線から右折をしてきた車両Bに衝突しました。

車両Bの視点

右折してT字路に入るため、第2車線に停止していました。対向車が通り過ぎるのを待ち、通り過ぎたので右折を開始したところ、バックをしてきた車両Aに衝突されました。車両Bは走行車線をバックしてくる車両Aがいることは想定していませんでした。

現状での回避方法

通り過ぎたからといって、交差点までバックで戻るという方法をとった車両Aに問題があります。
しかし、車両Aはタクシーだったため、距離がかさむと乗客からクレームを言われる可能性があるためバックをした可能性があります。
個人の車であれば、通り過ぎても他で曲がれば済む話でした。

現状のタクシー料金は距離と時間で計算されていると思いますが、これをある程度の直線距離などでざっくり計算されるようになるとこのようなことは回避されるようになります。距離によって異なるということは、タクシーの運転手が遠回りをすれば高くなるというおかしなことが起きます。

カーナビやスマホが普及した今、従来からのメーターによる単純な走行距離や経過時間で料金を計算するのではなく、移動するエリアごとに段階的な金額にすることで今回のような動作は不必要になります。

タクシーは時代の最先端になれる可能性を持っていながら、時代の最後尾にいるという大きな矛盾を抱えた業界です。教育業界をはじめ、本来、最先端であるはずのと分野が時代の最後尾にいるというのはよくある話です。

自動運転(ADAS)等ができることの検討

LiDARで全方位を確認するという方法もあります。
今回のような単純な衝突防止であれば、RADARでも対応できます。

また、一部の車に搭載されていますが、駐車用に真上からみたような画像を生成できる画像処理装置を積んだものもあります。
今回の事故は予想できない動きをしていることが原因ではありますが、昔の車のゲームのように真上から見た画像が生成されていれば多くの事故は回避できます。
この記事の最初の図のような形で上から見た図が表示できればいいことになります。

ドライバー視点、つまり前方180度程度と言われますが、実際にはっきり見えているのは30度程度しか視野角がないと言われています。
車両Aがバックする時には後方から来る車両については意識していたと思いますが、右折をしてくる車両Bについては全く見えていなかったことが考えられます。走行車両がいたかどうかにかかわらずです。

現状の駐車を補助する用のカメラでは足りませんが、周囲のカメラや周辺の車の車載カメラの映像から、真上からみたようなカメラ画像を生成してそこから回避行動を促すことや、回避行動をシステム側が行うことが考えられます。

ただ、そこまでになるためには本当の意味での路車間、車車間通信がシームレスに行われるようになる必要があります。
現状の5Gレベルではまだできませんし、画像処理装置もそこまでのことを行うにはまだまだ高価ですからその次の世代の通信になっていきます。

まとめ

高速道路を逆走する車がいるように、予想しない動きをするドライバーはこれからも出てきます。

そうした時に、システム側が動作をどこまでブロックしていいのか、警告を出していいのか、その加減が難しくなります。

高速道路を逆走などということについては、システムでかなりの部分は対応できるはずです。
なぜならば、わかりやすく、ありえない動作だからです。

ETCなどでゲートの管理はできていますので、逆走を検知すれば、警告メッセージを出すことや、停止させるということも可能です。
警告メッセージなどはかなり簡単に対処できるでしょう。
2016年くらいから国交省やメーカー等でシステムをまとめているようですが、一部のカーナビには搭載されているようです。

海外には逆走防止のタイヤ止めもあるようです。
逆走するとパンクさせて停止させる物理的な装置です。
逆走すると大事故になるわけですから、パンクさせてでも止めた方がいいはずです。
雰囲気的に日本には設置しないのでしょう。

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