交通事故推移

車両台数と交通事故の推移と対策

交通事故の現状の種類と推移、そして車側の装置による対策についてお伝えします。

かつては、交通戦争と言われるくらいの時代がありました。
つまり、戦争で人が亡くなるくらいの人数が交通事故によって亡くなっていたからです。

戦後、急速に車の台数が増えていく中、昭和45年には交通事故による死亡者は16,765人でピークを迎えます。
その後、減少しながら1万人程度で推移する時代が昭和50年(1975年)から平成7年(1995年)くらいまで続きます。
そして、さらに急速に減少を続けて平成30年(2018年)には3,532人となりました。

車両台数と交通事故の推移

 

自動車と二輪車台数の推移 出典 交通事故総合分析センター(H30統計データよりグラフ化を行った)

二輪車の台数はそれほど変化はありませんが、自動車(特殊車両も含みますが比率は低いです)の台数は、平成18年頃まで伸び続けています。
一番、交通事故での死亡人数が多かった昭和45年の時には2000万台程度だったにも関わらず、現在は8000万台と4倍になっています。

 

事故件数と負傷者 出典 交通事故総合分析センター(H30統計データよりグラフ化を行った)

 

死亡人数 出典 交通事故総合分析センター(H30統計データよりグラフ化を行った)

平成15年頃まで事故件数と負傷者数は増加し続けているにも関わらず、死亡人数は平成5年くらいから減り続けています。
この点については、車側の安全整備の進化やガードレール等の整備、シートベルトの義務化などが功を奏したと言われています。

車の台数が平成18年頃まで増え続けているにも関わらず、死亡人数が減っていることから、1台あたりの事故件数は減少しています。
車の台数を事故件数と、死亡人数でそれぞれ割った値で作成したグラフを次に載せます。

昭和45年に比べ、平成30年は1台の車が起こす事故は1/10になっている

 

事故1件あたりの台数

 

死者1人あたりの台数 出典 交通事故総合分析センター(H30統計データをもとに計算し、グラフ化を行った)

ここからわかることは、昭和45年頃には1年あたり20台に1件の車が事故をおこしていたにも関わらず、平成30年には200台に1台になっていることになります。
1台あたりの車が事故に合う確率が1/10になったということができます。

死亡する人においては、昭和45年頃が1000台につき一人でしたが、約2万台につき一人ですから、1/20になっていることになります。
件数が1/10になったにも関わらず、死亡人数の方が大きく減り1/20になっているということは、昭和60年に施行されたシートベルトの義務化や医療技術の向上などが考えられます。

人対車両 事故類型別件数の変化

 

人対車両 事故件数の推移 出典 交通事故総合分析センター
(H30交通統計を元にグラフ化を行った。分類のうち件数の少ないものについてはその他にまとめている)

交通事故には車対車と、人対車があります。
人対車の事故は全体的に減少傾向にあり、特に横断時(横断歩道、その他)に事故件数が多くなっています。

横断中の事故が大半であり、歩行者側に警告を出すことが重要

全体的には減少傾向ですが、「横断歩道中」が一番件数が多いです。
「その他横断中」とは横断歩道ではないところを歩行者が横断することですが、こちらは特に件数が減っています。

横断中の事故が多いということは、歩行者が横断しようという意図をもって渡った時に事故になっています。
車のスピードが速いのか、見通しが悪かったのか、歩行者が車との距離を見誤ったか原因はそれぞれかと思われますが、歩行者側が今渡ったら事故に合うという認識があれば多くの事故を防ぐことができたことになります。

つまり、この場合は歩行者側の端末にて警告することが重要になります。
横断歩道中の事故が多いということは、信号機などのインフラ側にセンサーを設置することも有効です。

当然、車側に歩行者が渡っているという警告を出すということもありますが、歩行者がどのタイミングで道路に渡るかは車からは判断できません。
急に出てこられたらどれだけ車側にセンサーがついていようと、対処はできません。

もちろん、事故件数の多い交差点かどうかなどはデータの共有ができますので、そういう警告を出すことはできます。
路上に歩行者が横たわっているなどであれば車側の検出で防ぐことはできますが、その件数は非常に小さいです。

歩行者が通行中の事故は車側にて対応

背面通行中、対面通行中の件数は横断中の事故に比べると少ないですが、それらについてはドライバー側の歩行者の見落としなどの理由が考えられます。
その場合は、車側のシステムで対処することで事故を防ぐことができる可能性が高くなります。

逆に歩行者からは車が突っ込んでくるということは想定していませんので、歩行者側に警告を出すというのは有効ではあるとしても役立つシーンは少ないことが想定されます。
ドライバー側になんらかの異常が起きていて、数秒前から異常を検出できている場合であれば有効ですが、わき見運転やスマホなどの操作をしている場合は事故が起きるかどうかはほんの直前にしか検出できません。その事故直前に警告が歩行者側に出ても殆どの場合は対処ができません。

それよりも、歩行者がいるということを車のシステム側で認識してドライバーに警告をあらかじめ出す方が事故を防ぐことができる可能性はあります。

歩行者と車の事故の起きる状況の変化→6割以上が横断中であることは変わらない

 

人対車 昭和45年

 

人対車 平成30年 出典 交通事故総合分析センター
(H30交通統計を元にグラフ化を行った。分類のうち件数の少ないものについてはその他にまとめている。)

交通戦争と呼ばれているときの昭和45年と、平成30年の人対車両についての事故件数におけるケースについて変化をみてみました。
件数自体は約1/4になっているので大幅に減少しています。

ここからわかることは、横断中における事故が多いことは昭和45年でも、平成30年でも変わりませんが、横断歩道ではないところの「その他横断中」の割合が昭和45年は特に高いところをみると、近年は横断歩道以外のところでは道路を横断することは減ってきているとは言えます。

しかし、昭和45年の場合の「横断中」の合計(その他横断中+横断歩道横断中+横断歩道付近横断中)は74%、平成30年の場合は57%ですので横断中が6割と今でも多いことには変わりません。
ここには載せておりませんが、昭和45年における死亡事故における「横断中」の比率と、平成30年の比率はどちらも7割(69%と70%)でした。

平成30年においてはその他の比率が高くなっています。この集計をする際に、路上遊戯中と路上横臥(おうが:寝っ転がっていること)の件数は非常に少ないのでその他に含めています。他に何か大きな要因があるというより、その他の比率があがったのではなく、全体の件数が大きく下がっているためにその他の比率が高くなっています。

車両相互 事故類型別件数の変化

 

車両同士 事故件数推移 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

追突の件数が急激に減っています。確かに自動ブレーキや警告などの追突防止に関わるシステムについては2000年頃から各社から商品化されています。ただ、その普及率を考えると本当にそれが理由とも言い切れません。出会い頭衝突についても、車の先端にカメラをつけて死角を無くすようにしている車もありますが、そうったシステムだけで防げるものではありません。

飲酒運転に対する厳罰が厳しくなるなど、世の中全体的に運転モラルが上がったからと考える方が自然です。
他の欧米諸国においても同様に事故件数は減少傾向にあります。

追突については、システム側でかなりの対処は可能です。そのため、現在普及しつつある追突防止に関わるシステムの普及により、さらに件数が減ることが予想されます。

出会い頭については、どちらかが一時停止をしなかったなどもありますが、ドライバーが他の車両の認識をしていないために起きる事故です。
この事故を減らすためには、他の車にドライバーが気づくことができるかどうか、にかかってきます。
この手の事故がどこでどれだけ起きているかは警察や保険会社がデータとして持っていますので、それらのデータをもとに、道路インフラを設置するなどして、その交差点などにお互いの車の存在を検出できることで対応が可能になります。

右折時衝突は右折車が直進車のスピードと距離を見誤っているから右折時に事故になります。
歩行者が横断してもいいかどうかの判断ができるように、右折しても安全なのかどうかを車側が検出することで回避できる可能性は高くなります。
それは右折車側に事故のトリガーがあります。
複数車線などの場合は、反対車線の右折車に直進車が隠れているといったことも想定されます。
交差点側にそれぞれの車の位置情報と速度を測定する「スマートシグナル」があることで対応できます。

車両同士の事故の起きる状況の変化→追突と出会い頭衝突、右折時衝突が7割以上

 

 

車対車 昭和45年

車対車 平成30年 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

件数自体は、昭和45年に比べて25%減程度です。ただ、平成18年は761,068件ですので、ここ10年程度で半減しているといえます。
事故の種類としては、追突が35%から40%に増え、出会い頭衝突が20%から29%に増えていることが特徴的です。
追突事故については、霧や降雨などで前の車両が見えないということもありえますが、基本的には車間を詰めすぎていたり、前方をよく見ていなかったなど後続を走るドライバー側に殆どの過失があります。
また、車が車を検出することはそれほど難しいことではありません。
そのために、レーダー等にて追突防止システムがあれば大半の追突事故は防ぐことができます。

衝突被害軽減ブレーキの義務化

衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking System)は義務化が進んでいます。

国土交通省より、令和2年1月31日に乗用車にもAEBSの義務化が発表されました

国産の新型車には令和3年11月から、継続生産車は令和7年12月からとなっています。
輸入車についても新型車には令和6年7月から、継続生産者は令和8年7月からです。

トラックはそれより先に義務化が決まっています。

3.5t超8t以下のトラックについては新型車には平成31年11月から、全新車には平成33年11月からとすでに義務化されています。
それ以外のトラックの事例は省略しますが、車両総重量別に義務化の時期が決まっています。

義務化されても既存の車は走り続けます。
乗用車もトラックも10年以上使用されますので、実際にAEBSを搭載した車両の普及にはまだ10年くらいかかることが予想されます。
トラックやバスには、既存の車につけるための補助金も出ています。
市内を走行する路線バスは立っている人もいるため、義務化されていません。

車両単独の事故について

車両単独の事故にはどのようなケースがあるのかをまとめてみます。

 

車両単独 事故件数推移 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

ここからわかることは、「その他工作物衝突(電柱など)」と2輪車の「転倒」による事故が大幅に減少しています。
今後10年というところでは、「その他工作物への衝突」については車線逸脱防止システムなどの普及によって事故が減少することは考えられますが、平成18年との比較の場合、そういったシステムが寄与しているとは考えにくいです。

他の内閣府などのデータを調べてみても、飲酒運転や、スピード出しすぎによる違反が減少していることが確認できました。
その点から考えるとドライバー側のマナーの向上のために事故が減っていると考えられます。

車両単独 平成18年

 

 

車両単独 平成30年 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

車両単独による事故の件数はここ10年程度で、約1/4になっています。
昭和45年の集計時には、「その他工作物衝突」の項目がなかったため比較がしにくいです。
そのため、昭和45年のデータではなく、平成18年のデータと比較を行いました。
ちなみに昭和45年の件数は52,427件で、平成18年の件数は48,628件と近い数値でした。

件数が大幅に減っているにも関わらず事故の種類の割合はほぼ変わっていません。
転倒は2輪車の事故ですが、車の事故としては、電柱などのなんらかの工作物、もしくは防護柵つまりはガードレールへの衝突がここ10年ともに合計40%で変化はありません。

その他工作物衝突や防護柵等衝突が起きている要因として考えられるのは、多くはスピードの出しすぎによってコントロールを失ったことが予想されます。

参考までに昭和45年の割合を以下に出します。

 

車両単独 昭和45年 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

ここからわかるように、かつては路外逸脱による事故が多かったと出ております。
その路外逸脱が大幅に減っているということは、昭和45年からの約50年でガードレール等が多く整備されたことが予想されます。

車両単独による事故は、ほぼすべてドライバーが原因となる事故になります。
どれだけレーダーなどのセンサー類が発達したとしても、車側に制限速度+20キロまでしか出せないなどなんらかの強制的なシステム介入が入らない限り、この手の事故は減りません。

死亡率について

元データはすべて交通事故総合分析センターの平成30年データをもとに計算します。

車同士の事故が大半を占めるが、死亡率は車両単独がダントツ

平成30年の種類別の事故件数を比較します。

人対車 48,618件

車対車 370,614件

車両単独 11,286件

次に平成30年の死亡事故について種類別に比較します。

人対車 1,186件

車対車 1,342件

車両単独 860件

これらをもとに死亡事故の比率[%]を計算(死亡事故件数÷事故件数)します。

人対車 2.44%

車対車 0.362%

車両単独 7.62%

つまり、車対車の事故件数は圧倒的に多いにも関わらず、死亡事故になる比率はかなり低いことがわかります。
当然ともいえますが、人対車になると車対車の7倍くらい比率があがります。
車両単独は事故件数が少ないですが、事故になると1割近くが死亡することになります。
この数値は車対車の約20倍です。

車両単独の死亡人数は減っておらず、死亡する比率はむしろ高くなっている

事故の件数は近年大きく下がっているにも関わらず、車両単独事故の死亡者についてはあまり減少していません。

車両単独 死亡事故件数推移

 

 

車両単独 事故件数に占める死亡事故件数の割合 出典 交通事故総合分析センター(H30交通統計を元にグラフ化を行った)

ここ10年ちょっとにおいては事故件数が減っているにも関わらず、死亡事故の件数が減っていません。
つまり、一度事故が起きると死亡事故につながる比率が高くなっています。

車の安全性能が高くなっているのならば、この数値は下がるはずです。
この数値が逆に何倍にも高くなっているということは、車の高性能化に安全設備や人間の判断が追い付いていないことが考えられます。

2000年頃であれば、300馬力の車といえば、かなりの高性能車でした。
ところが、今は輸入車などであれば、500馬力程度の車はザラです。
簡単にスピードが出せるようになっているのです。

このあたりはEVになることでさらに加速性能があがっていきます。
どれだけ出力が高くなり、加速性能が上がっても、ブレーキ性能はそれほど上がりません。

高性能車においては、人の手に負えないくらいの車が街にあふれている可能性はあります。
人の手に負えないとしても、事故の可能性があるときにはシステムが安全に停止させることができるようになることが求められます。

人がハンドルを握る限り、乱暴に振りかざせば武器になる点は現時点では100年前と変わっていません。
人からハンドルを取り上げれば、車両単独の事故は特に減ります。

これから自動運転車と、人間の運転する車が混在する時代が続きます。
飛行機の記録を行うフライトレコーダーのように、車にもドライブレコーダーが普及していきます。
ドライブレコーダーといっても、一般的なただのカメラ映像だけではなく、ドライバーや周辺状況がどのようになっていて、どのような操作をしたのかなどより詳しく車側にデータが保存されるようになり、それが逐次サーバーに転送されるようになるでしょう。

一部の保険会社は始めていますが、ドライバーの運転状況に応じて保険の比率が変わります。
優良ドライバーであれば保険が安くなり、事故を起こす可能性の高いドライバーであれば保険が高くなるのです。

ただそれだけでなく、事故を起こしやすい運転をするドライバーに対しては車側が制御をかけるということも必要になるでしょう。
事故を起こそうとしても起こすことができない車が求められています。

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